同志との別れ

料理人になってからたくさんの料理人に出会いました。

駆け出しの頃は、トップのシェフや先輩たち。色々とお世話になりました。


こうしてお店を持ってからは、同じくお店を経営する、所謂店主の料理人との交流が増えました。

日本料理や我々洋食など、一概に飲食店と言っても実に多くの業態が存在します。


ではすべての料理人と仲良くなれるかというとそうではなく、やはり自分の感性と合った人が周りに残っていくことになります。

僕にとってはその人たちはとても大事な存在で、実はそんなに多く居ません。


料理のジャンルは違えど、共通する価値観がそこには存在します。

仕事や、その仕事に対する姿勢へのリスペクトです。


今年の夏、その大事な同志を亡くしました。


彼は関西の素晴らしい日本料理の技を習得した職人でした。

季節感や、その素材の活かし方、どれもが素晴らしかったことを今でも覚えています。

心にぽっかりと穴が開いてしまった心持ちです。

去年、ヨーロッパに旅立つ前の日の晩、日本料理を食べておこうと思い、出かけたお店も彼のお店でした。

とても残念な思いはこの晩秋になっても変わりません。


この場を借りてご冥福お祈りします。