恩師との出会い


最近、別々の方に


「どうしてフレンチをされてるんですか?」


と尋ねられました。

数年前の僕ならきっと、フランス料理の歴史や調理技術の素晴らしさの蘊蓄をその方々に熱く語っていたでしょう。


今は少し心境が変わっていて、『ある人』との出会いが、僕にフレンチを志させてくれた。そんな風に思っています。


僕は調理師の専門学校を卒業し、イタリアンの世界から料理人人生をスタートさせました。

イタリアの料理やワインに憧れ、毎日楽しく貪欲に学んでいた頃を今でも鮮明に覚えています。

その頃お世話になったシェフや先輩方には、今も感謝の気持ちでいっぱいです。


25歳になった頃、以前お世話になったシェフに、久留米の『ある人』を紹介して頂きました。

「香炉」というレストランの久木原シェフです。


短い間でしたが、久木原シェフから学んだことは膨大で、僕の料理人人生は180度変わりました。

久木原シェフは凄く厳格な方ですが、そこから多くのことを僕は学びました。

そこから僕はフレンチに、いえ、厳密に言えば久木原シェフのフレンチに対する考え方に転向したことになります。


久木原シェフとの出会いがなければ、今の僕は存在しえないと断言できます。

という事はLa Cuisine de KAWAMURAも存在しなかったという事になります。

そのくらい、僕の料理人人生においては大きな存在です。


実は一概にフレンチと言えども、実に多くの『流れ』があります。


当然、久木原シェフにもその『流れ』はあり、僕も必然的にそれを踏襲しています。

その『流れ』の源流は東京やパリにあり、僕はそれを遡っていきました。

多くのインスピレーションがそこにはあり、それらは僕の創作意欲で有り続けています。


『ある人』と出会ったのちに、それをどのように捉え、どう行動するかは人それぞれです。


が、『ある人』という存在は、きっと誰にでも存在するのだと思っています。